「俺って指導者向いてないのかな。」

 

トレーニング後の帰り道、何度も心が折れそうになった。

もう現場にいきたくないと思った時期もあった。

がむしゃらに学んだ

GKコーチでプロフェッショナルになってやる。

そんな思いで私はGKコーチとしてのキャリアをスタートさせた。

ただ、当時の私はまだ18歳で、GKコーチとして右も左も分からない。

選手としても大した実績もない自分は、1からゴールキーパーを学ぶ必要があった。

 

私は躊躇なく自分に投資し、学びの場に飛び込んだ。

 

楽しかった。

学べば学ぶほど、ゴールキーパーというポジションの面白さを再確認していった。

過信してしまった

地元の中学校で指導しはじめた私は、学んだことを次々とグラウンドで実践していった。

その当時ゴールキーパーが1人しかいなかったため、トレーニングはほぼマンツーマン状態。

 

トレーニングを重ねるに連れ、少しずつ選手に変化が現れてきた。

 

「よし、やれる。」

私は自信をつけていった。

 

しかし、今思えばこれは自信ではなく過信だった。

突きつけられた現実

その頃私は縁あって、東京GKスクールでスタッフをさせていただくことになった。

 

そこで私は、自分の力の無さを思い知った。

 

トレーニングが面白くない。

自分のコーチングが選手にいまいち伝わってない。

なかなか選手に変化が現れない。

 

毎回のトレーニングをやってて、手応えが全くない。こんな状況がずっと続いた。

メンタルはボロボロだった。

 

ちょっと選手に変化が現れたくらいで、過信していた自分がアホらしかった。

選手とともに泥を啜って血を流せ。

そんな時にスクールの代表にかけられた言葉が、私が大きく変わるきっかけとなった。

 

「選手のために泥を啜って、血を流せ。」

 

それまでの自分を振り返ると、当時の私は指導者という立場になり多くを学んだことで、偉くなったと勘違いしていた。

 

トレーニング現場は、GKコーチと選手だけの空間。

人と人の信頼関係で成り立っている。

 

そんな当たり前のことを私は忘れていた。

GKコーチになりすぎていたのだ。

選手とともに走り続ける

そこから私の考えが大きく変わった。

今までは、自分のやりたいことを選手にただ押し付けているだけだった。

 

そこで、今自分が指導している選手たちに必要なことは何なのか。彼らは何を求めているのか。

選手に寄り添ったトレーニングを考え、実践した。

そしてこれまで以上に学んで知識を深めた。

 

そうすることで少しづつ周りからも評価をしていただけるようになってきた。

 

もちろんそれでも数えきれない失敗をした。恥をかきまくってきた

 

ただもうプライドは捨てた。

私はこれからも、選手とともに進化し続ける。

 

泥を啜って血を流していく。